クリトリスにバターを
純文学作家の村上龍が好きだ。
知らない人のために説明しておくと、24歳の時に「限りなく透明に近いブルー」でデビュー。群像文学新人賞および芥川賞を受賞したという日本を代表する作家だ。
村上春樹と並び“ダブル村上”と称されている(たぶん春樹のほうが知名度は高いが)。
「限りなく~」は龍の自伝的小説であり、セックスとドラッグが描写の中心となる退廃的な
世界観が特徴である。僕が初めてそれを読んだときは中学生だったと思う。
当時、小説というものは「メガネをかけた大人しい人が書くもの」という認識を持っていたので、
「こんな小説があるんだ」と衝撃を受けたのを覚えている。
「限りなく~」の中でお気に入りの文章がある。
これまでずっと、いつだって、僕はこの白っぽい起伏に包まれていたのだ。 血を縁に残したガラスの破片は夜明けの空気に染まりながら透明に近い。
限りなく透明に近いブルーだ。僕は立ち上がり、自分のアパートに向かって歩きながら、このガラスみたいになりたいと思った。そして自分でこのなだらかな白い起伏を映してみたいと思った。僕自身に映った優しい起伏を他の人々にも見せたいと思った。
こういった文章はやはり純文学作家でないと書けないのではないかと思う。
すごく綺麗で純粋な文章だ。
僕自身もこういった文章が書ければ……と思う。
一生を懸けて自分の魂をぶつけるような文。
何も持っていない僕だが、それが書ければ僕の人生にも意味があったのではないかと思う。
みなさんは記憶に残る文ってありますか?
良ければコメントで教えてください。
それでは、今日はこの辺で。
※ちなみに「クリトリスにバターを」というのは「限りなく~」の前のタイトルだったようです。
書籍化にあたり、あまりに卑猥で発行できないので改題したようです。
僕は前のほうが好きですけどね。
今週のお題「読書感想文」