ミニにタコ

純文学作家志望者がつらつらと雑記を書き連ねます

クリスマスに少女は還る

テレビからは高揚感を促すような楽し気な音楽が流れ、街灯はイルミネーションで彩られている。

往来する人々は笑顔を見せ、街はいっそう輝いて見える。

 

そう、クリスマスが今年もやってくる。

昔から全世界的に親しまれているクリスマス。

読者の皆さまも楽しみにされている方が多いであろう。

 

今日はあらためて、「クリスマスとは何か」ということに言及しようと思う。

 

クリスマスは、キリスト教イエス・キリストの降誕祭。救い主であるイエスの誕生を祝う極めて宗教的な行事である。しかし、由緒ある神聖な日であるはずのクリスマスは、近年宗教的性格は影を潜め、すっかりマスコミによって商業化・イベント化されてしまった。

これは我々日本人の精神をたるませる由々しき事態である。

 

こと日本においては、少年少女たちは親からおもちゃを貰い、青年はいかにして意中の娘を口説き落とすかに頭を悩ませ、仕事に疲れた中年サラリーマンは妻や子供たちに家族サービスする日に成り果ててしまった。

これではクリスマスの本来の意義は何一つ満たされておらず、堕落への道をつき進んでいると言っていいだろう。

 

物心ついたころから文学一筋に心血を注ぎこんできた自分としては、

このような軽佻浮薄なイベントに断固として異議を唱える者である。

 

このようなイベントが続けば日本は必ず精神的に軟弱になり、ダメになる。

そこで、自分なりにクリスマスの適切な過ごし方の案をいくつか考えたので、紹介しよう。

 

  1. 恋愛禁止

まずは肝となる過ごし方を紹介したい。

何といってもクリスマスと言えば恋人同士が甘い時間を過ごすという精神的観念が国民に浸透してしまっている。まずはこの固定観念を打破するべきであり、年ごろの男女が不純異性交遊に走らぬように恋愛を禁止してみるべきだろう。

昨今、性行為の低年齢化が進み、望まぬ妊娠や幼い少女が性犯罪に巻き込まれるケースも多い。

とりわけクリスマスのような甘いイメージが恋愛を美化させ、「クリスマスは恋人同士で過ごし、甘美な時間を楽しむ」という恋愛的バイアスを促進させていることは間違いない。

世の中にはこういったバイアスに苦しむ人間がたくさん存在するであろう。

いや、僕は全然苦しんでいないのだが、たぶんこういう人たちは存在する。僕は全然苦しんでないけど。そういった人たちを救済し、かつ未来を担うであろう若者たちに精神的に強くなってもらうためにも、恋愛は禁止すべきであろう。才能とは孤独によって育まれるものである。 

f:id:kenichi_nakahara:20201223183910j:plain

2.クリスマスソングの廃止

世の中の恋愛至上主義を促進させるものとして、流行の歌謡曲による影響が大きい。特にクリスマスソングは恋愛的要素が大きい。多感な少年・少女を誑かす、邪悪な歌と言っていいだろう。

特にマライヤキャリーの「All I Want for Christmas is you」や松任谷由実の「恋人がサンタクロース」などはリズミカルでポップな曲調であり、つい口ずさみたくなるので子供たちを恋愛脳に洗脳するのにもってこいの曲である。即刻、政府によって規制すべき曲である。

しかし、街にクリスマスソングが流れぬとなれば、少々寂しい、物足りぬという人もいるであろう。

心配無用。寒い季節の慰みおよび就労意欲高揚のため、代わりに軍歌を流してみてはどうだろうか。若者たちの精神的修養にお勧めしたいのは「月月火水木金金」「同期の桜」「ラバウル小唄」など、いずれも名曲ばかりだ。

特に「月月火水木金金」は、現代の「働きすぎは良くない」という甘ったれた精神を叩き直し、社畜に洗脳するのにもってこいの曲である。

若者に人気の「カウントダウンTV」や「ミュージックステーション」などの番組で流してみれば効果が出ることは請け合いだろう。テレビだけでなく、学校でも朝礼時に、会社でも朝のラジオ体操時に流してみてはいかがだろう。

f:id:kenichi_nakahara:20201126231138j:plain

 

3.洋風化の廃止

日本人が洋服を着るようになり久しい。家も昔ながらの長屋はなくなり、まるで欧米のような家が並んでいる。ここに大きな落とし穴がある。

欧米=ファッショナブルという、白人文化に憧憬する戦後間もないころの間違った固定観念を未だに日本人は引きずっており、嘆かわしい事態である。

この概念を払拭するためにも、クリスマスは浴衣や着物などを着用してみてはどうだろうか。

見た目を変えれば心も変わる。我々は日本人なんだなあ、と実感できるであろう。

また、来るべきクリスマス当日は精神修養のため、恋人はもちろん、友人や両親との交流も断ち、各々が乾布摩擦・滝行・読経などに励み、煩悩を取り払い心も体も鍛えるべきである。

言うまでもなく、七面鳥・ピザ・ケーキなどの西洋を想起させるような華やかな食事は禁止であり、精進料理などの質素な和食を食すことが好ましい。

 

以上、クリスマスの過ごし方の提案である。

この提案は決して僕がモテず、恋人と過ごせないことに起因するルサンチマン的提案ではなく、国民の皆様が心からクリスマスを楽しんでもらうための提案である。

勘違いしないように。

 

お題「#買って良かった2020

稲垣潤一の「クリスマスキャロルが流れるころには」のCDである。